「エアコンが買えず、夏は扇風機だけ」「ランドセルが高すぎて…」中3で妊娠した母親(21)が語る、“ひとり親”育児のリアル から続く

 中学3年生で妊娠し、15歳で未婚のまま子どもを出産した横井桃花さん(21)。昨年春の「文春オンライン」のインタビューでは、高校に進学せずに働きながら子どもを育ててきたことを明かした。

 子育て中に周りの同級生と比べて悩んだ過去や、中学の恩師に言われてショックだった言葉、ひとり親に対する偏見などについて詳しく話を聞いた。(全2回の2回目/最初から読む

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出産してしばらくは友達に会いたくなかった

――横井さんは中学生で妊娠し、高校に進学せずに子育てに専念することを決めました。周りの同級生と比べて悩むことはなかったのでしょうか。

横井 最初の頃は、高校に通う友達が羨ましくてしょうがなかったです。制服を着て通学する高校生を見たくなかった。

 私は毎日、寝る暇もなくミルクをあげて、夜泣きしたらあやしての繰り返しだったから、自分の時間なんて全くなくて。なんで私だけこんな思いをしなきゃいけないんだろうという気持ちがありました。

 しばらくは友達にも会いたくなかったので、距離を取っていて。複雑な気持ちでしたね。でも、出産してから数ヶ月が経った時に、逆にみんなに会いたい、息子をみんなに会わせたいっていう気持ちが強くなって。そこから連絡を取るようになりました。

――友達の反応はいかがでしたか。

横井 そもそも妊娠したことを言っていない子もいたので、驚いたりする子もいましたが、みんな息子を可愛がってくれました。ほっとしたというか、安心しましたね。それまでは疎外感をすごく感じていたけど、友達と話したことで私なりの生き方を自分でも認めることができたというか。人と比べることをしなくなりました。

 それからやっぱり中学校の先生にも出産のことを伝えたいと思って、学校に行ったんですが、子どもを抱いている私の姿を見た瞬間、教室に閉じ込められて生徒に見られないように早く帰りなさいって言われて。ショックでした。妊娠のことも出産のことも伝えないまま卒業したので、先生からしたらまさか! という感じだったんだと思います。

 子どもの顔を見せたら喜んでもらえると思ったんですが、おめでとうの言葉もなく、すごい剣幕で子どもを見てきて。生徒には絶対に見せるなと、子どもを隠すものとされたのが悲しかったですね。でも、やっぱりしょうがないよなと思いながらしょんぼりと家に帰ったのを覚えています。

私と息子は社会から受け入れられないと落ち込んだ

――中学を卒業したばかりの元生徒が子どもを持つことは良くないことだと、中学の先生から判断されてしまったんですね。

横井 そうですね。それでまた気持ちも落ちてしまって。私と息子は社会から受け入れられない、隠されなければいけないものなんだと思ってしまいました。それに息子の父親とも連絡が取れない状況だったので、余計に落ち込んでしまって。

 でも、息子は責任を持って私が育てないといけない。産むと決めたのも、高校に行かないと決めたのも私だったので、そこからは切り替えて一生懸命子育てをすることでいつか周りに認めてもらいたいと思うようになりました。

――その他に若い親、ひとり親ということで周りから何か言われた経験はありますか。

横井 SNSで発信を始めてから、「ちゃんと子育てしてなさそう」とか「虐待をしてそう」というコメントをもらうことがありました。

 10代の母親でもしっかり育児している人はたくさんいるので、そういうコメントは悲しいし、それを見た他の母親もショックを感じると思うのでやめてほしいです。もちろん経験が浅いので子育てに悩むことはたくさんありますが、いろんな壁に当たりながらも子どものことを考えてやっているので、そういう部分をもっと知ってほしいと思います。

――お子さんの父親との状況は以前と変わらず、連絡が取れないままなのでしょうか。

横井 全く連絡は取っていないですね。そもそも連絡先もわかりません。最近は、息子が父親や母親という存在を理解してきて、「僕にはお父さんがいないの?」と聞いてくることがありました。正直に「うちにはお父さんはいないんだよ」って伝えるんですが、そうすると「なんでいないの?」って聞かれるので、「もうちょっと大きくなったらちゃんとお話しするね」って伝えています。

 できるだけ正直に伝えたいと思っているので、息子がある程度理解できる年齢になったら話そうと思っています。

 今後、もし息子が「父親に会いたい」と言ったら、会える状況にしてあげたいとも思っています。自分自身もひとり親で育ったから父親に会いたいと思う息子の気持ちは理解できるので。

息子には逃げ場がない

――お子さんもお父さんがいないという状況は理解しつつあるんですね。

横井 そうですね。私の兄の家に行くと息子がすごく楽しそうに遊ぶんですよ。うちには男性がいないから男の子同士で遊べるのが嬉しいみたいで。そういう時にやっぱり父親という存在は必要なんだなって感じますね。

 ひとり親の場合は、お父さんとお母さんの二役を1人でやらなければいけないので、息子には我慢させてしまっているところもたくさんあって。例えば私が怒った時に、父親がいれば息子は甘えたりできるけど、それがないから、息子には逃げ場がない。それは辛いと思うので、極力休みの日は実家や兄の家に行って遊ばせてあげる機会を作っています。

――横井さんは育児から離れて1人の時間を取ることはあるのでしょうか。

横井 リフレッシュのために年に数回、息子を母に預けて友達と飲みに行くことがあります。そんなに遅い時間までは遊べませんが、数時間だけでも友達と話す時間があるのはとてもいいですね。家に帰るとまた明日から頑張ろうと思えるので。そういう時間はこれからも大切にしたいです。

ひとり親のリアルを伝えたい

――今後やりたいことや目標などはありますか。

横井 前回のインタビューの際に同じ境遇の方々からたくさんのメッセージをいただいたんです。「うちも金銭的に大変です」とか「将来のことで悩んでいます」とか。ひとり親にとって育児の環境って本当に大切なんだと改めて感じました。

 少しずつ改善していますが、それでもやはりまだ支援が十分とは言えない状況なので、そういう声を発信してみなさんにリアルな子育てを伝えていけたらと思っています。自分1人で何とかなる問題ではないけれど、何かのきっかけになれたらと思っていて。

 あとは前回のインタビューの時も言いましたが、カメラマンとしての仕事を増やしていきたいです。いつかはスタジオを持つことが夢なので、それに向けてお金を貯めたり、活動の幅を広げていきたいですね。

(「文春オンライン」編集部)

横井桃花さんと幸希くん 1年前に撮影されたもの ©杉山町秀樹/文藝春秋


(出典 news.nicovideo.jp)


<このニュースへのネットの反応>

不利なことがあると意識している親の方が教育や子供の幸せにマメになるというデータもあるし、30過ぎてからの出産よりは物理的には楽な面も多いとは思うので、悪い事ばかりではないが、何にしろ苦労してそう。少しでも露出が増えて仕事につながってくれれば。