1歳の我が子と歩いていたら、目の前で2歳くらいの見知らぬ子どもが車道へ駆け出していった――。あわや大惨事というところを、とっさに止めたお母さんの体験談が注目を集めています。

【画像】助けた場面のイラスト

 このヒヤリとする出来事をTwitterに投稿したのは、育児漫画を手がけるアトリエほっかむさん。車道へ突進する子どもが目に入った瞬間、後方で悲鳴を上げる、その子のお母さんらしき人に気付いたといいます。

 彼女は赤ちゃんを載せたベビーカーを押していて、どうやら上の子を止められなかった様子。アトリエほっかむさんは我が子を抱えながら走り出し、どうにか子どもを止めることができました。

 子どもは無事に母親の下へ帰り、親子で大号泣。アトリエほっかむさんは、「子どもから目を離すなとはいうけれど、手を振り払って車道に走るんよな……」と、状況を振り返ります。

 「想像しただけで血が引いた」「みなさん無事でよかった」など、大きな反響を呼んだこの一件。「2歳児が一番危険。好奇心と行動力と筋力とフェイント力は爆上がりしてるのに、判断力がついてきてない」「ほんとにこれ、手つないでたって振り払ってまで走り出すんですよね……」など、似た経験や共感の声も寄せられています。

 ねとらぼ編集部はアトリエほっかむさんに、当時の状況など詳しい話を聞きました。

―― 車道へ走る2歳(推定)の子を見たときの心境はいかがでしたか

アトリエほっかむさん まず、そんな子がひとりで道路を駆けていく状況に何事かと驚きました。そして、すぐに後方の母親と乳児の乗ったベビーカーを確認し、「この状況では何かあっても間に合わない」と警戒のスイッチが入りました。実際はのんびり思考する暇はなかったので、2歳の背中を全力で追いかける直前に頭をよぎったことです。

―― 子どもを止めたあと、その子のお母さんとどのようなことを話されましたか

アトリエほっかむさん 駆け寄った母親からまずお礼とお詫びがありましたが、目を合わせたのも一瞬で、全くお話のできる状況ではなかったのです。恐怖と安堵といろいろ交じってか、震えて涙ながら子どもを抱きしめていて――何か声をかけようかとも思いましたが、私がそばにいる限り母親はまた何度もお礼をしなきゃならなくなります。それは求めていなかったし、抱きしめ合う親子を見ていると自分がノイズに思えて、そっと退散しました。

 ただ、やはり心配だったので、親子が立ち上がって安全に動き出すまでは私も帰れなくて、様子を確認できる近場にこそっと隠れて我が子と一緒に見守っていました。周囲からすれば単なる変な人に見えたかもしれません……。

―― 「日頃から通りすがりに人助けをしたいと謎のイメトレをしてる」とツイートされていますが、どんなイメトレをされていますか

アトリエほっかむさん あらゆる事態や事件を想定する感じです。誰かの止めているベビーカーが坂道を転がる危険を予測しては「走って止める自分」をイメージしたり、子どもがひとりでいたら「連れ去り」に警戒します。また通り魔や痴漢などキリがないんですが、周囲に武器や防御に使えるものはないか? 避難できる場所はあるか? など見渡して考えてしまいますね。

 イメトレとはちょっと違うんですが、園児バス置き去り事件があまりにひどく悔しかったので、駐車している園バスを見ると「降ろし忘れの子どもはいないか?」と窓を見たり耳をそば立てたりしてしまうこともあって。

 誰がいつ何に遭遇するか分からないので、いろいろな事件・事故を知るやびに、当事者意識を持つようにしています。もちろんどれだけ頭で考えていても駄目なことはあるでしょうけれど。

 今回、車道に突っ込もうとする2歳児をギリギリで止められたのは、小脇に抱えていた我が子が、突然何かを察すようにおとなしくしてくれたのも大きく、運が良かったと思います。

―― Twitterでの反響について感じたことをお聞かせください

アトリエほっかむさん 保護者の方も、そうでない方も、より子どもの事故への意識が高まったことが良かったと思います。4万6000件以上ものいいねをいただいたのは初めてだったので、私の故郷の総人口より多いな……とポカンとしてしまいましたが、それだけ多くの関心が集まったことは、うれしくありがたかったです。

 また、本題と関係はないのですが、反響のついでに私の作品も多くの人に気に入っていただけたのは、副賞のような喜びでした。絵を描くことも、通りすがりに子どもを助けることも、自分にとってはそんなに遠くなくて。長期計画的に何かするのが不得意で、衝動でできること・したいことをしているだけです。

 ちょっと反響が予想より大きくて、称賛までされると、「特に立派な人間でも無いし毎日を生きているだけだよ……」とビクビクもしますが……それはともかく、事故は起きないと思って生きるよりも、逆のほうが絶対に防げると思うので、この出来事が今後誰かを守るきっかけになればうれしいです。

いくら気をつけていても、幼児が突然走り出すことはあるもので……(写真はイメージ)


(出典 news.nicovideo.jp)


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